用語事典
◆何仙姑(かせんこ)
八仙の一人。蓮の花を持った姿で描かれる。
本名や出自には諸説あるが、少女時代に仙人の導きで仙女になったことは共通している。
桃ではなく雲母を食べた説のほうが一般的。
◆殭屍(キョンシー/きょうし)
夜中に動き出し、人を襲ってその血をすする死体。太陽の下では動けない。
怪力だが関節が硬直しているので、高い所に登る事ができない。
体が硬く武器が効かないため、倒すには火や法術が必要となる。
キョンシーに噛まれるとキョンシーになる、息を止めると気づかれないといった設定は映画「霊幻道士」での創作。
◆衢州三怪(くしゅうさんかい)
「聊斎志異」に登場する、浙江省の衢州に出現する妖怪たち。
一、鐘楼に住む一本角の鬼。見たものは病死する。
二、池の岸辺に横たわる布。拾った者は池に引きずりこまれる。日本の妖怪「一反木綿」と似ている。
三、池に住むあひる。その鳴き声を聞いたものは病気になる。
◆崑崙(こんろん)
中国の西方に位置し、仙人が住むという伝説の山。「封神演義」にも仙人達の本拠地として登場する。
実在の「崑崙山脈」とは無関係。
◆西王母(せいおうぼ)
古くから信仰されている女神。
「山海経」の頃は恐ろしい獣のような姿をしていたが、次第に崑崙で仙女達を統括する母神となった。
不老不死の桃の管理者として「西遊記」にも登場している。
◆西湖(せいこ)
浙江省杭州市にある湖。「西湖十景」で有名な観光地であり世界遺産。「白蛇伝」の舞台としても知られる。
◆長安(ちょうあん)
唐代には世界最大を誇った都。現在の西安に当たる。
日本の平城京や平安京のモデルとなった。
◆跳屍送尸術(ちょうしそうしじゅつ)
「霊幻道士」でもお馴染みの、死体を歩かせる術。出稼ぎ先で死んでしまった人の遺体を、故郷へ運ぶ際に用いられた。
◆帝江(ていこう)
「山海経」に記された、奇妙な姿の神。顔もないのに歌舞をよく知るという。
◆麻姑(まこ)
「神仙伝」などに登場する仙女。兄は同じく仙人の王遠。
何仙姑と共にいたところを目撃されている。
爪が長いことから「孫の手」の語源にもなっている。
◆藍采和(らんさいか/らんさいわ)
八仙の一人。性別不明ともいわれる。花かごを持った姿で描かれる。
異様な格好で歌い歩き道化師のようだが、その歌には深い意味があるという。
関連知識
◆神仙伝(しんせんでん)
自らも仙人となった道教研究家・葛洪がまとめた神仙たちの伝記。後世に追記された部分もある。
同名のゲームとは多分無関係。
◆西遊記(さいゆうき)
明代の小説。三蔵法師が三匹の妖怪と共に天竺を目指す。
日本でも有名で多くの作品の題材となっているが、水の妖怪だった沙悟浄は「河童」の姿で描かれることが多い。
◆山海経(せんがいきょう)
戦国時代から漢代にかけて成立した地理書。神や妖怪の記述も数多く含む。
◆仙姑(せんこ)
女性の仙人のこと。仙女、女仙。
◆道教(どうきょう)
主に中華文化圏で現在も信仰されている宗教。
宇宙の真理「道(タオ)」と一体化し、不老不死の仙人となることを目的とする。
日本の中華街にも関帝廟や媽祖廟がある。
陰陽五行の思想は陰陽道の元となった。
◆八仙(はっせん)
有名な八人組の仙人(李鉄拐・漢鍾離・呂洞賓・韓湘子・張果老・曹国舅・何仙姑・藍采和)。
日本でいう七福神のような存在で、縁起が良いとされる。
明代の小説「八仙東遊記」では、それぞれの出自や龍王との戦いが描かれている。
◆封神演義(ほうしんえんぎ)
明代の小説。商代末期の革命戦争を、多数の仙人・道士や妖怪を絡ませて描く。
日本でも漫画やゲームの題材になっているが、講談社文庫版(安能務訳)で創作された設定が多く浸透している。
◆聊斎志異(りょうさいしい)
神仙や妖怪の伝承を集めた清代の短編集。